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季節を巡る、人と星の願い『ハーヴェステラ』レビュー

 

『ハーヴェステラ』
ジャンル:生活シミュレーションRPG
発売日:2022/11/04
発売元:スクウェア・エニックス
開発元:Live Wire
対応ハード:Nintendo Switch / Steam
価格:7680円(税込)

ハーヴェステラ HARVESTELLA | SQUARE ENIX

 

 

ハーヴェステラはスクウェア・エニックス販売・Live Wire開発の完全新作RPG。生活シミュレーションとRPGの組み合わせというと『ルーンファクトリー』が有名(実際開発に初代のスタッフが関わっている)で発売前とかは比較されていたけど、実際遊んでみると全然気にならなくなった。そもそも、従来のスローライフゲームとは味付けが大きく異なるから、面白さの軸も違う。

システムはクラシックだし(取っつきやすいともいう)、細かい所の粗は確かにあるのだけど、世界観やストーリー、完全新作だからこそ可能なアプローチで、総合的にとても満足した。面白かったです。

クリア後もゲーム内の実績をコンプリートするまでやり込みました。クリア時間は50~60時間ほどで最終的に150時間プレイ。遊んだのはSwitch版。それではレビューいきます!! (終盤のマップの一部分が貼ってあるのでそこだけ注意)

 

 

何と言っても『ハーヴェステラ』最大の特徴はストーリーと世界観だと思う。

「シーズライト」と呼ばれる、四季をつかさどる巨大な結晶体により、生き物たちが恩恵を受けている世界。しかし、いつからかシーズライトに異変が生じ、あらゆる生命を脅かす塵が降る「死季」が季節の変わり目に発生するようになってしまう。魔法が使えたり妖精や魔族と呼ばれる者たちがいたりと、王道ファンタジー的な設定。

死季の日に行き倒れていた主人公と、未来からやってきたという少女アリアとの出会いから冒険が始まる。この未来から来た少女といったように、単なるファンタジーじゃなくて、SFや哲学的な要素も取り入れられているのが面白い。メインストーリーはテンポの良さもあって引き込まれた。

そしてこのゲームが生活シミュレーションという形を取っているからこそ、より世界に愛着が湧くし、この世界を守りたいという気持ちに説得力がある。世界が大変なことになったら、「明日収穫の作物があるんですけど!?」みたいな気持ちになれる。相棒ポジションのアリアを筆頭に、キャラクターも優しくて魅力的な人たちばかりだ。

強いて言うならボスバトルや重要なシーンの演出は盛り上がるのだけど、道中もう少し演出やセリフを入れて欲しいと思うこともあった。押さえて欲しい所はしっかり押さえているし、魅力的だからこそもっと欲しくなる。それでもメインストーリーの壮大さは、他のスローライフゲームにはない特徴だし、何より物語自体が良かったな。

 

町の人から受けられるクエストはしんみりとしつつも、優しい話が多め。一つ一つがしっかりしていて、続き物になっているのもある。

一方で、似た方向性の話も多いから(種類は豊富)なんとなく展開が読めてしまうこともあった。でもそれは、こうなって欲しいという期待に応えてくれる、ということでもあると感じた。

キャラクタークエストはそこから一歩踏み出したような話で特別感がある。キャラクターの掘り下げはもちろん、メインの補足や後日談の要素が強め。個人的にはアジールやハイネ、ディアンサスの話が好きだな。クエストクリア後、手紙が届いてその後どうなったか報告してくれたり、次のフラグが立ったりするのも良かったね。2種類のクエストのおかげでボリューム的にも満足感がある。

キャラクターと主人公の恋愛要素はほとんどない。何ならクエスト中に特定の異性の話(恋人とかではないが)が出てくることもあるし。エンディング後、選んだパートナーと一緒に暮らすことが出来る。キャラのことは好きだけど、恋愛関係になりたいわけではないんだよなって人にはピッタリだと思う。

そして同居人がいると「おかえり」と「いってらっしゃい」を言ってもらえる。これが本当に素晴らしい。

 

農業は最初から種が手に入りやすく、品質も気にすることないライトな作り。序盤からたくさんの作物が育てられる。

ジョウロの水くみしなくていいのは楽だし、水やりをしなくても枯れることはない。その代わり死季で果樹以外が枯れる。クワ、ジョウロ自体のアップグレードはなく、ストーリーを進めて妖精オーダーをこなすことで、複数マスの水撒きや耕しが可能になる。収納箱の制限がないのも快適だった。

序盤や畑を広げたり動物小屋を建てたりすると手紙で種やアイテムの差し入れをしてくれるのも嬉しい。クエストや料理の納品の報酬が美味しいから、作物はジャム以外、稼ぐためというより回復アイテム用だね。コンプリートを目指さなければ、頑張って金策する必要はないかも。家畜もなでる、餌を補充する、畜産物を回収するのみでこちらも手軽。

農業や家畜要素はライトで他に時間を割けられるため、ストーリーや探索などの邪魔にならないのも良いバランス。

 

バトルも農業同様、初心者向けという印象。移動以外に回避や防御がないため、アクションが苦手でもやりやすい。どちらかというとコマンドRPGに近い作りで、HPやスタミナなどの管理、属性が重要となっている。武器は強化のみでスキルもそこまで自由さはないし、カスタム要素はジョブと仲間の組み合わせ、アクセサリー程度。後は料理のバフが大きい。

倒すか弱点判明すると、敵の頭上に弱点属性のマークが表示されるのだけど、その属性が分かりづらかった。図鑑にも載るのだが、一々見るのは大変。火属性などは想像がついて分かりやすいけど、哲属性なんかだと「哲属性のマークってなんだ……?」ってなる(今も分かっていない)。これは状態異常の説明はあるのに、属性一覧などの説明がないのも一因かな。

それと、大きな攻撃は攻撃範囲を赤い囲みで表示してくれるものの、終盤やボスは通常攻撃でもごりごり削れるため、やや理不尽さや突破できても回復アイテムでゴリ押しているように感じることもあった。ドリンクの飲みすぎでお腹ちゃぽちゃぽになるだろってレベルで飲むことになる。

 

仲間たちと料理を食べると会話イベントが発生するブレイクタイムは、仲間同士の交流が掘り下げられていて良い。料理の話から関係ない話まで種類も豊富。このゲーム、料理や魚のイラストや説明が素晴らしく、料理は本当に美味しそうだし魚は小ネタが効いている。

ストーリーを進めると一時的にブレイクタイムの会話を聞けなくなるが、また進めると復活するので安心して欲しい。

 

改善してほしい所がない訳ではなく、特にUI周りは少し不満もある。メニューカーソルがループしないため、下の方の項目を見るのが煩わしく、収納箱もアイテムの種類が増えてくると切り替えが大変。ジョブチェンジ、道具切り替えの動作がしづらい。移動カーソルから指を離さないといけないから移動が止まり、スムーズに切り替えられないなど。

FEAR(強敵エネミー)が複数いる箇所なんかは、そのマークでマップが埋まりギミックや地形がほとんど見えなくなる。

このFEAR、少し離れると元の位置に戻る仕様になっていて、その際HPも戻るのだが範囲の判定が厳しく、ものによっては少しでも離れるとまたやり直しになってしまうのもキツかった。それとストーリー後半からのクラフトで結構使う素材が、敵ドロップ限定な点とかも。*1

あとはダンジョンの階層をワープする際、ミニマップも表示して欲しかった。クエストの目的地が分からず何度も探し回ったからね。

でもどれも個人差はあるけど許せる範囲というか、他の良い所が上回っているからそこまで問題には感じなかったな。いや、無理に倒す必要がないとはいえFEARがすぐ消滅するのはやっぱキツイかも。

 

音楽が本当に良い。壮大で美しさと寂しさのある音楽がハーヴェステラの世界にマッチして、ストーリーがさらに輝く。公式サイトでも少しだけ聴けます。

グラフィックもそれぞれの町の四季の表現やダンジョンの景色がキレイで好きだな。

 

仲間と共に歩む世界の謎を解き明かす物語は、意外性もありつつ、良い意味で往年のRPGのような懐かしさを覚えた。ゲームとしての方向性、雰囲気が一貫しているからこそプレイしていて心地よさがある。とても良いゲーム体験でした、ありがとうハーヴェステラ。

攻略本とか、設定資料集とか出してくれ~

*1:アップデートにより対象素材が入手しやすくなったそうです